静岡会場「わかもののまちをつくるためには?」パネルディスカッション:LYCフォーラム講演録3

スウェーデン

この記事は「わかもののまちのつくり方フォーラム」の報告連続記事です。最初からご覧になりたい方は⑴からお読みください。

⑴パウラ・アジメールさん「スウェーデンにおける民主主義と若い市民の参加」

⑵エドヴィンさん・リリアンさん「ヨーテボリ市ユースカウンシル :若者の声」

⑶パネルディスカッション:静岡会場

⑷パネルディスカッション:京都会場

⑸パネルディスカッション:東京会場

【静岡会場】日本でユースカウンシル実現するためには?

わかもののまちのつくり方フォーラム静岡会場では、下記のようなメンバーでパネルディスカッションが行われました。

パネラー:

○Paula Ajmer さん(スウェーデンヨーテボリ市 コミュニケーション局 国際部 ユースカウンシルと学生フォーラム担当 プランニングマネージャー)

◯Edvinさん(ユースカウンシル 議長)、Lilianさん(ユースカウンシル 副議長)

○水野 翔太 さん(名古屋わかもの会議 創設者)

○加藤 稜唯 さん(第3期新城市若者議会 議長)

コーディネーター:土肥 潤也(NPO法人わかもののまち代表理事)

土肥
土肥

引き続き、パネルディスカッションを進めていきたいと思います。スウェーデンの皆さんからのプレゼンテーション、日本のふたつの事例のプレゼンテーションがそれぞれありました。他の会場とは異なり、静岡会場には日本でユースカウンシル実践をしている愛知・新城のふたつの団体に来てもらっていますが、水野さん、加藤さんのおふたりから感想や質問はありますか?

水野さん
水野さん

ユースカウンシルのメンバーが12歳から17歳と聞きました。日本だと部活や塾など、外に出る機会があまり無いが、なぜわざわざ手をあげて、こういう場に参加しているのですか?

Paulaさん
Paulaさん

学校と民主主義は一体化して働きかけなければいけないと考えています。学校内だけでなく、学校外の活動に参加することは社会全体の民主主義の発展のために重要なことです。

土肥
土肥

日本の高校生は忙しいと言われます。スウェーデンの高校生2人は何時に学校が終わって、普段はどんな放課後を過ごしていますか?

 

Lilianさん
Lilianさん

学校自体は15時ごろ終わります。私は放課後の週に3回はバイオリンの教室に通って練習をしています。

Edvinさん
Edvinさん

僕は15時に学校が終わった後は、勉強をやるか、クワイヤーの活動もしているので、演奏したり歌ったりしています。そしてユースカウンシル の活動をしています。

土肥
土肥

学校が15時に終わって、放課後は自由、その中でユースカウンシルの活動をしているのが印象的です。放課後の時間の確保も重要なテーマですね。

パウラさん
Paulaさん

加えて、私から見ると、ユースカウンシルに参加することで成績が上がっている子が多いと感じています。もちろんそれ自体は目的ではありませんが、相対的にユースカウンシルの活動は若者に良い影響を与えています。

投票することは変化を起こすこと。

加藤さん
加藤さん

2人(EdvinとLilian)は選挙で選ばれていますが、(ユースカウンシルに参加していない)他の若者からのユースカウンシルに対する注目度はどのくらいありますか?

Lilianさん
Lilianさん

選挙では、学校が選挙の告知や普及を行い、立候補者は公約を書いて立候補します。他の学生はその公約を見て誰に投票するか決めています。

土肥
土肥

日本の若者が政治に無関心とよく言われますが、なぜスウェーデンの若者はそんなに関心があるのでしょうか?

Paulaさん
Paulaさん

スウェーデンは民主主義の歴史が長く、投票率も高いです。政治家が文化のことなど、若者が関心を持っていることを政治と繋げていることも理由のひとつだと思います。

 

 

 

 

Edvinさん
Edvinさん

投票することが変化を起こすことだと知っているからだと思います。だから若者は政治に関心を持つし、投票にも行きます。

土肥
土肥

スウェーデンではおおよそ何歳くらいから興味関心を持ち始めますか?

Paulaさん
Paulaさん

何歳からというのは難しいのですが、非常に早い段階からだと思います。政治はある意味文化であるから、若者が選挙に興味を持ち始めるのはとても自然なことです。

水野さん
水野さん

自分たち日本の若者は成功体験があまりないが、彼らはそれがあってそれが文化となっているのだと感じました。自分たちは「変えられた」という成功体験がないから、それが日本とスウェーデンの違いかなと思います。

土肥
土肥

「投票することは変えること」というEdvinの発言がありましたが、日本ではその感覚が感じられないことが、若者の政治離れや投票率低下という問題の根幹なのかもしれませんね。

政治家とどう関係をつくるか?

Paulaさん
Paulaさん

私たちは政治への繋がりが大切だと考えています。なぜなら、その繋がりがなければ変化を起こすことができないからです。だからこそスウェーデンの政治家たちは、ユースカウンシルのメンバーの話に積極的に耳を傾けています。日本でも政治への参加をもっと考えたほうがいいかもしれませんね。

Lilianさん
Lilianさん

私は政治との繋がりを保つ上で、お互いの信頼関係が大切だと考えています。大人が(現在私たちが参加している)ユースカウンシルをつくったので、市や政治家たちが若者の声を大切にしていると実感しています。

土肥
土肥

日本の事例で見ると、加藤さんが参加していた新城市若者議会も同じようにやっていると思いますが、政治家への信頼だとか、市や政治家とのやりとりはどのような感じでしょうか?

加藤さん
加藤さん

市議のみなさんとお話するのは年に一度くらいですね。信頼はなくはないといったところでしょうか。市議会議員というよりかは、市役所の担当課の職員さんの方が近い存在でした。

土肥
土肥

(若者と関わる上で)時間をかけてくれるのは大事ですよね。それが若者と真剣に向き合っていると示していることになりますし、若者と真剣に向き合うことはとても大切なことだと思います。一方で、若者が適当にあしらわれてしまっているというのが日本の多くの現状だと思います。

水野さん
水野さん

実は名古屋も数年前に、名古屋は若者が流出しないから若者の声を聞く必要がないと言われました。ただ根気よく活動を続けていくことで、去年の市長選挙では、マニュフェストの中に名古屋若者会議をやることを盛り込んでいただくにまで至りました。

Paulaさん
Paulaさん

スウェーデンでは信頼がとても重要で、多くの課題に対して民主主義を保つために、日頃から若者との信頼を強くしています。

Lilianさん
Lilianさん

スウェーデンでは、政治家たちが自発的に若者の声を聞いてくれます。年に5回ほど、若者が政治家を招待して、若者の声を直接政治家に届けています。その際に政治家たちは誠実に若者の声を聞いてくれます。日本でも政治家とのミーティングをした方がいいのではないでしょうか?

土肥
土肥

日本で若者政策が発展していかないのは、名古屋のように若者の声を聞かないというのが印象的で、日本では若者参加政策は人口政策など他の文脈で語られていて、民主主義や権利の文脈として語られていない現実があります。なぜヨーテボリでは若者の声をそこまでに重要視しているのでしょうか?

Paulaさん
Paulaさん

ヨーテボリは常に成長しています。まず若者について、第一の課題は(移民が多いこともあり)住む場所をどう確保するかでした。しかし、ヨーテボリはその課題を解決しました。現在は、子どもの権利をすごく大切にしています。ユニセフの子どもの権利条約が法律にもなっています。子どもの視点も尊重し、子どもの意見をもっと大切にすれば、まちが成長することをヨーテボリは知っています。子どもがひとりひとりが子どもの専門家であり、彼らに聞くことが最も近い正解なのです。

ユースカウンシルの主張、何を変えたいか?

土肥
土肥

それではここからは会場から質問をとっていきたいと思います。

日本ではグレーゾーンと言われているいうような発達障害や精神障害を抱えた若者の参画はスウェーデンではどのようにしていますか?

Paulaさん
Paulaさん

スェーデンでは障害を抱えている方やマイノリティの方に対して国が多くの配慮をしています。秋には国政選挙がありますが、そのような方達への政策が一つの大きな焦点となっています。

Lilianさん
Lilianさん

そういう問題はとても大切だと考えています。私自身、ユースカウンシルに立候補するときに、メンタルヘルスの問題を掲げました。

ユースカウンシルのメンバーは、(参加していない)他の若者の声を拾うためにどのような活動をしていますか?また2人(EdvinとLilian)は選挙で当選した際に、どんなアピールしましたか?

Edvinさん
Edvinさん

81人のメンバーがそれぞれに解決したい課題を持っています。市役所の(ユースカウンシルの)オフィスで政治家と話したりしています。私は選挙の時に、若者のための無料公共交通機関のことや、給食のこと、反差別運動をアピールしました。

Lilianさん
Lilianさん

私は給食、精神障害のことを話しました。そして、私自身が”若者の声”になりたいという思いをアピールしました。

Paulaさん
Paulaさん

若者が何を取り組んでいきたいか、その取り組んでいく課題自体を若者に決めてもらうことが大切だと考えています。

選挙と若者の距離

日本での政治参画はとても消極的であり、それが投票率の低さに現れていると思います。「どうせ選挙に行っても何も変わらない」というような意識が高いと感じています。先ほどのスウェーデンの政治の話には驚きました。家庭内や学校で政治について話されていると思うのですが、どのような感じでお話をされているのですか?

Lilianさん
Lilianさん

まず学校では、中立に選挙について教えています。「政治とは何か」ということだけを教えるのです。私は家庭では、誰に投票したかを言わないので、自由に政治家と話したり投票することができています。

Edvinさん
Edvinさん

学校では投票することを促していますね。その大切さも教えてくれます。そして誰に投票したかを話さないため、自由に投票することができます。

Paulaさん
Paulaさん

スウェーデンでは、全ての家族が夕食中にそのような話題を話しているとは思えません。しかし、民主主義について教えることは大切だと考えています。

Lilianさん
Lilianさん

友達が言っていたことですが、「18歳になって、もし誰に投票したら良いかわからない場合は空欄で投票する」と。スウェーデンでは、これもひとつの参加の方法です。

スウェーデンのユースカウンシルはいつから始まったのでしょうか?また、自発的に立ち上がったものなのでしょうか?そして、このユースカウンシルという仕組みは北欧や西洋では当たり前なのでしょうか?

Paulaさん
Paulaさん

私たちのユースカウンシルは2004年に政治家の提案によって作られました。ヨーロッパではこの仕組みが主流になってきていて、政治家も若者の声の大切さに気づいているということだと考えています。

土肥
土肥

北欧やヨーロッパだけでなく、韓国やフィリピン、インドネシアなど多くの国でユースカウンシルが行われています。これまでは日本の若者政策を、特に東南アジアではお手本にする国が多かったようですが、他のアジアの国の方が若者参画が進んでいます。現在の日本は若者参画に関しては、もはや後進的だと言えると思います。

Paulaさん
Paulaさん

スウェーデンでは民主主義を大切にしていて、投票の年齢を16歳に下げるべきという議論すらあります。

スウェーデンの若者たちは、何を基準に政党を選んで投票しているのですか?

Paulaさん
Paulaさん

親の選んだ政治家を若者が選ぶことも多くありますね。

Edvinさん
Edvinさん

スウェーデンの各政党には政党青年部が存在していて、政党青年部に所属する若者も多いので、そのような政党との繋がりに影響されることも多いと思います。

スウェーデンでは、年上の人や政治家に対して意見を言うことができる環境なのでしょうか?

Paulaさん
Paulaさん

何かしらの組織に入っていなければ、政治家と話す機会を持つことは難しいとは思いますが、ユースカウンシルに入っていれば電話やSNSなどで簡単にコミュニケーションを取ることができます。

2人(EdvinとLilian)が実際にユースカウンシルをやってみて、嬉しかったことや印象的な出来事を教えてください。

Lilianさん
Lilianさん

たくさんの友達を作れる場であり、出会って変化を起こす場でもあると考えています。悪い経験はないですね。いい経験をすることができます。

スウェーデンであっても必ずしも、全員が政治に興味が持つわけではないと思うのですが、なぜ2人(EdvinとLilian)は政治に興味を持ったのでしょうか?

Edvinさん
Edvinさん

政治に興味を持つようになったのはユースカウンシルに参加したのがきっかけかもしれません。ユースカウンシルに参加することはとても楽しいです。また、学校でユースカウンシルの存在を聞いて、参加してみたら当選できてのでそれも嬉しかったです。もとからディスカッションをすることが好きだったので、楽しそうだなと思って参加してみたことがきっかけだと思います。

土肥
土肥

パネラーの皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。残念ながらここで時間切れになってしまいました。このフォーラムは、3会場での開催の第1弾であったわけですが、なぜ若者の参加が必要なのか?という前提の部分を含めて、ディスカッションから学ぶことができたように思います。これを「スウェーデンでは…」で終わらせず、日本の文脈で実現していくことがこのローカル・ユースカウンシルプロジェクトの目的です。

ありがたいことに中部地域には、名古屋わかもの会議や新城市若者議会のように先進的な若者会議の事例もあります。各地域での実践から大きなうねりを起こしていけるように、引き続き頑張っていきましょう。

 

 

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