ヨーテボリにおける民主主義と若い市民の参加:LYCフォーラム 講演録1

スウェーデン

この記事は、2018年7月にNPO法人わかもののまちが全国3会場で実施した「わかもののまちのつくり方フォーラム」の報告記事です。

報告記事は下記のように構成されています。

⑴パウラ・アジメールさん「スウェーデンにおける民主主義と若い市民の参加」

⑵エドヴィンさん・リリアンさん「ヨーテボリ市ユースカウンシル :若者の声」

⑶パネルディスカッション:静岡会場

⑷パネルディスカッション:京都会場

⑸パネルディスカッション:東京会場

ローカル・ユースカウンシル プロジェクトが目指すこと

土肥潤也(NPO法人わかもののまち 代表理事)

本日は、「ローカル・ユースカウンシル リリースフォーラム」わかもののまちのつくり方フォーラムにお越しいただき、ありがとうございます。NPO法人わかもののまち代表理事の土肥潤也(どひじゅんや)と申します。私からは主催者を代表して、私たちの団体概要、本フォーラムの目的などについてお話しさせていただきます。

NPO法人わかもののまちは、2016年の夏に発足した「わかもののまちづくり」に取り組むNPOです。もともとは私が大学生の時に、静岡市内で活動していた若者団体の代表者や個人などが連合体として集まり、静岡市に対して若者の地域参加の機会の拡充を求めた「わかもののまち静岡提言書」を提言したことがスタートになっています。それから法人化を経て、様々な自治体との協働による子ども・若者の地域参加プロジェクトの実施や、「わかもののまちづくり」に向けたロビイング活動などに取り組んでいます。

今回の「わかもののまちのつくり方フォーラム」は、NPO法人わかもののまちが2017年1月から取り組んでいる「市民としての影響力を高める日本版ローカル・ユースカウンシルの開発と普及」のプロジェクトの一環として実施をするものです。

ここ数年で、子ども・若者を取り巻く社会環境は目まぐるしく変化をしています。2016年には18歳選挙権の実現、つい先月は18歳成人法案も国会で成立し、今まで子ども・若者たちに向けられていた「育てられる存在」「教えられる存在」といった受動的な若者観から、積極的に社会に参画する「若い市民」という主体的な若者観への転換が起ころうとしています。また、人口減少、少子高齢社会への本格的な突入も相まって、子ども・若者の地域への参加が、我が国のこれからを方向付ける重要なテーマになっています。

しかし、これまで子ども・若者の参加実践というのは、非常に幼稚に扱われてきました。例えば、大人から与えられた原稿を読むだけのお飾り子ども議会、若者が何か提案しても「貴重な意見をありがとう」と真剣に受け止めようとしない若者会議など、子ども・若者の声は影響力を持っていませんでした。

そこで私たちの団体では、従来の子ども・若者参加のオルタナティブ、新しい方法として、欧州を中心に広がる若者の声を社会に届ける仕組み、ユースカウンシルに注目し、昨年の1月から、若者政策や若者参加に関わる実践者・研究者で検討委員会を構成し、「日本版ローカル・ユースカウンシル」の開発に取り組んできました。そして、皆さんのお手元にあるのがその成果物である「日本版ローカル・ユースカウンシルハンドブック」です。

そして今回、スウェーデン・ヨーテボリ市でユースカウンシルの活動をされているヨーテボリ市職員のPaulaさん、ユースカウンシル議長のEdvinさん、副議長のLilianさんをお招きしました。このフォーラムでは、スウェーデンのユースカウンシルの活動について講演をしていただき、ヨーテボリの事例に学んでいきたいと思います。

盛りだくさんのプログラムかつ通訳を介しての進行ですので、どんな会になるか主催者の私も不安ではありますが、日本の若者の地域参加に新しい風を吹き込む会となれば幸いです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

ヨーテボリにおける民主主義と若い市民の参加

パウラ・アジメールさん(スウェーデンヨーテボリ市・ユースカウンシルと学生フォーラム担当)

みなさんこんにちは。今日この場にいられることを大変嬉しく、また光栄に思っています。私たちのプレゼンテーションは2つのパートに分かれています。最初に、ヨーテボリ市の概要と背景をお話しさせて頂き、また、必ずしも政治的な決定者ではないグループや、選挙権を有していない人々によって市の機能をいかに高めていけるかについてご説明させて頂きます。二つ目のパートでは、実例としてヨーテボリ市のユースカウンシルについてご紹介します。まず、ヨーテボリ市についての短いビデオをご覧ください。

Hållbar stad öppen för världen – textad – Göteborgs Stad

ヨーテボリ市の概要

ヨーテボリ市は行政と民間企業からなる地方自治体です。 550億SEK(日本円で約6900億円)の歳入があり、5万4千人の人々が働いています。

ヨーテボリ市は10の行政区画に分かれています。各自治体は市民にの行き届いたサービスを提供する責務があります。保育園、義務教育の学校や図書館の運営、高齢者福祉など多岐にわたり、340億SEK(日本円で約4760億円)の市の予算うち、医療、教育、社会サービスが85%の支出を占めています。ヨーテボリ市は多くの産業とスカンジナビア最大の港を抱え、人口は55万7千人で、スウェーデン第二の都市です。ヨーテボリ市は10の行政区画に分かれています。

ヨーテボリ市民の25%がスウェーデン以外の国で生まれた人々です。移民の出身地として最も多い国々はイラクとイラン、その次にソマリア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、フィンランド、旧ユーゴスラビア、ポーランドとなっています。

ここ数年、ヨーテボリ市は確実に成長を続けていて、2035年までには、15万人の新しい住民を受け入れる準備をしています。ヨーテボリ市が発展するとともに、街は進化も遂げています。新しい住宅の建築が進み、これまで工業に使われてきた土地が住宅地と変化しつつあります。住民が増えることで、公共部門が住民や企業、観光客に対してサービスを提供する責任は増しています。教育の機会、地方議会の場の提供、豊かな文化的生活を保障することなどにより、ヨーテボリ市は市民をあらゆる側面からサポートしていきたいと考えています。市の発達のためには、子どもと若者のニーズや視点が特に重要になっています。

世界に開く都市・ヨーテボリ

ヨーテボリ市は、世界に開かれた街であり続けてきました。歴史的に外的影響を多く受けてきましたし、世界中の人々、アイデアや知識を取り入れながら発展してきました。

ヨーテボリ市は1621年に市の設立許可状を取得しました。オランダ人とドイツ人の建築家によって街が建てられました。18世紀にはスウェーデン東インド会社の本拠地として、貿易と海運の分野で繁栄しました。19世紀と20世紀にはイングランドとスコットランドからの先進的な技術を取り入れながら工業を発展させていき、イタリア、ギリシャ、旧ユーゴスラビアやフィンランドから大勢の労働者が移住してきました。

国際的な交流や影響、外からの人々が、これまでも、これからも、ヨーテボリの原動力です。
世界中から移民を受け入れていて、住民はますます多様化しています。2016年には人口が8500人増加し、これは過去40年間で最も高い増加率でした。
住民の多様な経験、視点、献身が、市を豊かにし、重要な資源となっています。移民の子どもに関しては、ヨーテボリの社会に温かく包み込み、外国の文化的背景に敬意を払いながら、その経験を強みにしてもらえるようにすることが極めて重要です。

どのように都市は統治されるか?

市議会のもとには市理事会があり、自治体内のすべての仕事を指揮・調整しています。理事会は市議会の管理の役割を担い、その代理としてあらゆる面から公務のサポートをしています。ユースカウンシルは、市議会直属の組織です。政治家と近しいコネクションを持ちながらユースカウンシルが組織されているというのは、顕著な特徴と言えます。ヨーテボリ市は、若者の社会参画の取り組みの長い歴史があります。

あらゆる政治的決定には、子どもの視点が必ず考慮されます。市の行政が行うこと全てに関して、その一つ一つが果たして子供たちにどのような影響を及ぼすのかも併せて考えます。多様な若者参画の政策と実施に関してそのほかにも、学校の生徒会の活動、全ての地区におけるローカル・ユース・カウンシル、またヨーテボリ市のユースカウンシルの取り組みをはじめとして、余暇活動もあります。

市は、若者がユースクラブや図書館、芸術や音楽、スポーツの教室を通しても社会に参加してもらうように働きかけています。そのほかにも、政治家に連絡を取ったり、SNSを通じて市に積極的に市政への提言をすることが若者に期待されています。以上で前半の私のプレゼンを終わります。では、エドヴィンとリリアンに、ユースカウンシルについてさらに説明をしてもらいます。ありがとうございました。

 

コメント

  1. […] […]